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アーカイブス No26 雑誌の取材インタビューにて(中)2013.11.30
温冷浴の理論と効果は
陰陽葛藤で根本的に体質が変わるというもう一つの例が、血液循環がすっかり変わるということです。これは東京大学でも実験していますが、4度の氷水をいれたバケツの中に腕をつけると、手の温度がずーっと下がります。毛細血管が縮んでしまって、血液が流れなくなったからです。ところが、そのまま15分たつと、水の中に手をつけているにもかかわらず、今度は手の温度が上ってきます。ということは、どこか血液が流れたということです。
ふつうは、心臓から押し出された血液は、動脈から毛細血管に入って流れていき、ガス交換をして、静脈を通ってまた徐々に心臓に返ってきます。ところが、毛細血管が縮んで血液の行き場がなくなると、バイパス(副血行路)が開いて、そのバイパスを通って血液が心臓へ返ってきます。そうすると、手は冷えないということです。だから、冷え性という人は、甘いものを食べたり、大食したり、アルコールを飲んだりして、バイパスをつくれば、冷え性はなくなります。自然界の熊や犬といった動物は、寒い冬でも裸足で走っています。彼らは冷えない。冷えないということは、バイパスが健全であるということです。
そうすると、健全なバイパスをつくためには、一時的に冷やさないといけないということです。そこで一番手っ取り早いのは、水とお湯に交互につかる温冷浴です。これを何回も繰り返していったら、バイパスが開くようになって、冷え性が治ります。
生玄米で宿便が出る。
Q ある程度、体に刺激や負担を与えることで、抵抗力をつけるということですね。
A そういうことです。
昔から「艱難汝を玉にする」「かわいい子には旅をさせろ」と言いますが、生野菜や果物を食べてはいけない、体を冷やしてはいけないと言っているばかりでは、過保護になるだけで、ほんまもんの健康にはなりません。
Q 生玄米を食べるというのはどんな理論があるのでしょうか。
A 西勝造先生は、生の野菜と生の玄米だけで生活できると言われ、「生の玄米を食べたら宿便が出る」とおっしゃいました。ところが、生の玄米を食べてなぜ宿便が出るのか、長い間わかりませんでした。ごく最近の医学的研究で、そのことが、明らかになりました。
米は玄米でも白米でも、澱粉がたくさん含まれています。生の澱粉はβ-澱粉です。β-澱粉は人間の胃腸で消化する酵素がないので、米を炊くわけです。炊いたらα-澱粉になり、消化できます。それがブドウ糖になって吸収されるわけですね。
一方、生の玄米は消化酵素がない変わりに、大腸に達すると今度は腸内細菌によってβ-澱粉が分解されるのですが、この場合は発酵です。β-澱粉が分解されて何になるかというと、短鎖脂肪酸になります。酢酸、酪酸、吉草酸、プロピオン酸という短鎖脂肪酸になって、腸内細菌のえさになったり、また大腸粘膜から体内へ吸収されてエネルギーになります。酪酸ができると、腸の壁をものすごく刺激して、便通が非常によくなります。すると宿便が出る。ははあ、生の玄米を食べたら宿便が出ると、西勝造先生がおっしゃったのはこのことだなと思いました。このように生の玄米と生野菜だけ食べて、便通がどんどんよくなって宿便も出る、こういう特殊な療法もあるわけですけども、このへんのところはマクロビオティックスの方が一番怖れるところですね。
しかし、生の玄米を食べたらすぐに血糖値が下がります。生玄米は、最初は粉にして食べますけどもだんだん慣れてきましたら、3日ぐらい水につけたのにちょっと味噌でもつけて食べたら、大変おいしいですよ。
水を飲む習慣も必要では
Q 西式健康法の話がでましたが、西式健康法では、水をよく飲むようにも指導します。そのことについてお聞かせ下さい。
A 水が飲めるような陽性の体にならなければならないということです。水を飲んだら体を冷やすと怖がっていて、体質を変えなければ、一生水も飲めない体になります。もっと体を改造していけば、水を1日に一升飲んでもやっていける体になります。私は単に食養の問題だけよりも、体質を変えていこうということを目標にしています。
1週間に1日、断食をする一日断食を繰り返していくと、だんだん陽性になっていきます。そしたら、水の飲めなかった人が、だんだんと飲める体になっていきます。2年ほどすれば、すっかり陽性の体になって、水をいくら飲んでも、胃もたれはせず、全然物足りなくなって、便通がものすごくよくなっていきます。よくマクロビオティックをやっている方で、5年、10年と、やればやるほど便が出なくなる人がいます。それはなぜかというと、水を飲まないから。水を飲む練習をすれば、それだけずっと陽性になって、便通がよくなります。
もうお亡くなりになられましたが、桜沢先生の直弟子で、食養内科のある先生がおられました。桜沢先生から、「もっと塩を摂らないといけない。水をあまり飲まないように」と言われて、その先生は徹底していて、味噌を皿いっぱい毎日なめて、水は一滴も飲まないという生活をずーっと続けていました。そしたらどうなったかというと、陽性の体になったかといえば、なりませんでした。それどころか、ますます体が冷えて、しまいには胃潰瘍になりました。そうして胃潰瘍の手術をして、行き詰って、今度は肝臓が悪くなり、甲田医院に来られました。そしたらその先生は陰性体質で、風呂に入る時でも、塩を入れないと入れない。塩ばっかり摂って水を飲まないので、夏の暑い時などは、体から塩が出てきてパラパラと落ちると言われたほどです。
そんな体から、ぼちぼち青汁を飲む、水をちょっちょっと飲むということを続けて、2年間ぐらいで青汁も水も飲める体になっていきました。あの先生の体験は、私にとってはとてもいい勉強になりました。
笑顔と感謝を大切にしてお祈りで業想念を清める
Q 次に「宿便の根本原因は心の宿便」ということについてうかがいたいとおもいます。
A 宿便は必要以上に食べてしまうからたまるということがわかれば、そうしたら、宿便をためないためには、必要以上のものを食べないようすればいいじゃないかというわけです。ところが、それがなかなかできないんですね。どうしてもつい食べすぎてしまう。
それはなぜかというと、仏教でいう業(ごう)の想念があるわけです。いわゆる仏の三毒といわれる「貪(どん)・瞋(じん)・痴(ち)」に振り回されるんです。貪りとか、怒りとか、愚痴とかですね。そういうことから、どうしても少食になれない。好きなものがあったら思わず食べ過ぎてしまいます。
例えば、今晩、すき焼きをして、おいしいかったから腹いっぱい食べたと。そして、おまけにビールを3本飲んだ。ビールのあてに、ピーナッツを1袋食べてしまった。そうしたら、計算したら3000キロカロリー以上も食べたら、これはもう胃腸の処理能力を超えていますから、宿便がたまりますね。
晩は苦しくて、朝起きても食欲がない。朝ご飯を抜きたいと思っても、朝ご飯を抜いたらいけないと言われるから、無理に食べてしまう。昼になっても腹が減らない。お昼をやめとこうかなと思っていたら、出張から帰ってきた同僚が、「土産や」と言ってすしを2人前くれた。それ見たらフラフラっとなって、「ま、1個ぐらい食べてもよかろう」と。でも、1個食べたらもう全部食べてしまう。
これは食べ過ぎた、今晩はもう一食抜かないといけないと思って帰ってきたら、里の親父が久しぶりに来ててね、「お前の好物や」と。「明日から食事を減らしたらいい」と思って、それもわっと食べる。
人は本来光り輝いている
こんなこと毎日やっていると、宿便がたまります。これは結局は業想念、貪りからきていることです。親鸞上人が自分のことを「罪根深重の凡夫」と言って絶望に陥ったのは、このことやなと思います。なかなか自分の思い通りにならない。人間というのはそんなに罪深いものかということです。
ところが、神道では人間は「神の子」というぐらいで、「神の分けみたま」です。すると、人間は「神の子」が本当なのか、「罪根深重の凡夫」が本当なのか、どっちなのかということになりますが、どちらも本当なんですね。
本来は光り輝いている神の分けみたまが、あって、その周囲を取り巻いている業想念を振り払えば光ってきます。どうしたら光るかといえば、宇宙の大エネルギーをもらえばいいということです。宇宙の神さん、神様の御心の中に入っていけということです。
神様は何を考えているのでしょうか。世界人類が平和でありますように、日本が平和でありますように、すべての人がより一層健康になり、病気も治り、幸せになれますように、そして私たちの業想念が極まりますように。そういうふうに祈ったら、神様が、非常に喜ばれて、宇宙のエネルギーがずーっと入っていきます。その光で業想念が清まっていきます。これがね、業想念を清める一番いい方法です。お祈りですね。 (つづく)