健康情報一覧
アーカイブス・甲田光雄講演抄録 1988~1994 No142012.09.11
< これらの内容中 社会的、医学的情報などは当時のものであることをお断りしておきます >
喘息はこうして治す 1993.3.24 甲田医院で
喘息に限らず他の病気でもそうですが、人体に元々備わっている生命力が落ちてきたときに我々は病気に苦しむものです。免疫力と言ってもいいでしょう。つまり免疫力をそぐようなことを知らず知らず積重ねてきた結果、病気という状況が現れてきたのです。さて喘息ですが、医学会ではこれを抗原抗体反応と見做し、気管支に炎症を生じ粘膜に傷がつくので、そこで修復しようとして分泌液を沢山出す生体反応と考えています。その為、喘息では、咳、痰が現れ、呼吸しにくくなる症状となります。病院ではこの対処にご存知の副腎皮質ホルモン剤でもって押さえ込むのですが、実はこれは喘息を治すのではなく症状を消す手段なのでして、この薬を使ううちには手放すことができなくなってしまいます。
一方今の世の中、大気汚染の改善が中々進んで参りません。工場排煙や車から出る排ガスによる公害が叫ばれて久しいのですが、悲しいかな経済優先の世の中ではそう簡単には環境が大きく変わっていかない。巷では今6000万台の車が溢れ、その上新車が毎年1200万台登場してくるのが現実なのです。残念ながら、喘息の患者さんは座して待っていられる環境にはなく、どうしても自分の健康を高め、守っていく行動を起こさないと話が前へ進まない。
それでは喘息治療のポイントに触れて参りますと、第一に皮膚を丈夫にして気管支粘膜に炎症を起こしたり、傷つけたりしないようにせねばなりません。その為の食品としてはビタミン群をはじめとする微量要素の摂取が大切です。VC、A、E、それにベータカロチンなどをあさくさ海苔、若布などの海藻類やパセリ、人参、小松菜、ほうれん草などの緑黄野菜から、そして柿茶ですね。そうしながらまた、温冷浴や裸療法で鍛えることです。特に裸療法で体内に残留するガスを発散させるべく皮膚呼吸を活発にして、神経作用に悪影響を及ぼさないようにするのが大切です。 第二の問題点が自律神経なのです。といいますのも、一般に喘息の方は自律神経にアンバランスを生じているからです。即ち互いに拮抗する交感神経と副交感神経が平滑筋を収縮させる機能を司っており、その神経と関係する胸椎三番が大抵出張っております。ですから喘息の方達は温泉療法で長湯したり、笑いころげたりして迷走(副交感)神経を一層緊張させたりしますと発作が起こり、却って悪くしてしまうこととなります。腹式呼吸でへその左上にある太陽神経叢を無闇に刺激するものマズイやり方ですね。双方の神経を揃えるには双方を同じように刺激していくのが賢い。即ち温冷交互浴であり、裸療法、背復運動である訳です。そして金魚運動や平床で背骨をそのつど修復しておくのも大事です。
しかし何といっても肝心なのは、日頃の過食で伸びきり、屈折した腸に溜めこんだ宿便が問題です。このような腸では喘動運動が弱くて動かないし、溜まった残渣物から発生するガスの影響をモロに被ってしまいます。こうした腸をタナ上げした治療では死ぬまで喘息をひきずることとなる。トイレの後などに念入りに金魚運動で腸内を整え、少食で排便をスムーズにしておき、できれば断食で腸管を縮めていかないと真の解決とはなりません。喘息発作が発生するときというのは、ビクとも動かなかった腸が宿便の悪影響にたまりかねて動き出すときなのですから、こうしたときこそ症状即療法と観て、胸へのカラシ湿布でもしながら過食の反省をしていくチャンスなのです。
「病は善知識」、人を育てる天の御心ともいうべきでしょう、普段の小さい悪癖をひとつずつ無くしていかなければなりません。それが完成したときに病が消えていくのです。そう考えますと、症状を余り早く取去るもの良し悪しで、良い習慣がまだ身についていなかったら、早晩またまた悪癖を積重ねて病をブリ返すことになるのかもしれませんからね。病気をどのように捉えるか、この辺が大切なところでしょう。