健康情報一覧
アーカイブス・甲田光雄講演抄録 1988~1994 No122012.07.10
< これらの内容中 社会的、医学的情報などは当時のものであることをお断りしておきます >
必要あっての高血圧 1990.3 甲田医院で
最近、死亡率の高い病気に心臓病と脳卒中が挙げられ、それぞれ現在2位と3位となっておりまして、109万人の方が入院治療中なのです。そのうち約半数は65歳以上の老人達で占められています。一度倒れて後遺症を残すと中々大変です。心臓病といい脳卒中といい血管系の病でして、やはり動脈硬化を引起こさないライフスタイルを作り上げて予防することが大切なこととなってきています。要注意は高血圧症ということでしょう。
血圧というのは状況により高くなったり、正常域に戻ったりしますが、問題になるのは常時、高い状態にとどまっている本態性高血圧です。他に腎性高血圧もあります。本態性はその原因がはっきりとは特定されず、遺伝的体質的なものとされています。一般的には酸性体質の方は自律神経のうちの交感神経が強く仂き、バランスが崩れてゆくのが原因だとか、あるいはストレスを強く受けてアドレナリンなどホルモンが副腎髄質から分泌されて血圧を押し上げてしまうなどの原因が考えられます。また、食生活上の塩分過剰摂取も警告されています。
しかし案外盲点となって見過ごされている原因に、皮膚呼吸の不全に伴う血液の汚れがあります。即ち充分に皮膚呼吸が行われてないと血液中の一酸化炭素濃度が高くなり、こうした状態が続くと血圧が昇ってくることが判ったのです。シドニーポットリーフという方が狭心症を起こす実験をして次のような警告をされています。それは、非喫煙者の狭心症患者63人に対してタバコを喫わせて後、トレッドミルテスト(※動くベルトの上を全力疾走させて負担をかけ、脈博や血圧などを計るテスト)をして狭心症発作を起こしたのです。即ち、まず第一日目はタバコを吸わず血中CO濃度ゼロの状態でテストをしたところ、平均501秒後に血圧の高い状態から狭心症の発作がきたのです。次に第二日目には、少しタバコを喫わせて血中のCO濃度を2%にして走らせたら482秒後に発作がきたのです。第三日目にはCO濃度を4%にしてみると465秒後に発作がきまして、結局、血液中にCOが多いとそれだけ狭心症発作のくる危険が大きくなることが判ります。ですから、COの害が小さくなるように、裸療法で酸素を補っておかなければなりません。密閉された場所に長く居たときや人混みから帰った後には特に念入りに。
それからまた、腎臓に故障がありますと血圧が昇ります。即ち、たとえば腎臓皮質の血液循環に支障が起こりますとレニンというホルモンが分泌され、こうなりますと肝臓でアンジオテンシンの分泌が増え、これが血圧を上昇させてしまうのです。さらに副腎に作用してアルドステロンというホルモンが分泌されまして、尿中のナトリウムを細尿管で再吸収します。さあ大変、高血圧対策は減塩だ、とばかりに極端にナトリウム摂取を制限しても、確かに一時的に血圧は下がるものの、腎臓への血流量が減り、レニンが増えてきます。こうなると、今述べたように、やがて血圧も昇ってき身体中のナトリウム量も案外減ってはいないという結果に終わってしまいかねません。そうしてみると、小手先の減塩をする以前に腎臓の故障を毛管運動や脚絆療法で治しておかねばなりません。
ところで血圧が昇るというのは、実は身体の自然な良能作用なのです。コレステロールやアテロームの沈着で血管が老化し血流量が減ってくると、身体の各組織は困るのです。特に脳はおなかの10倍、腕の20倍というほど血液を最も要求する箇所でして、腕なら縛って血を止めてしまってもそう簡単に壊死しませんが、脳細胞は約6分間血液が止まるともう蘇生しません。脳実質100グラム当たり一分間に75CCの血液が必要なのでして、これが50CC以下ともなりますと脳軟化症の危険に陥ります。老人性痴呆症ですナ。ということになりますと、医者が勧める血圧降下剤をせっせと飲んでいたら、却って老人ボケの予備軍となりかねないというわけです。かといって薬を急に止めるとすぐに血圧が昇り、これも危ない。これじゃあ袋小路ですナ。
ではどうするか。断食をして自己融解を計ればいいのです。アテロームが溶けて解消されてゆきます。そうすれば血液が循環し易くなるから、血圧を上げておく必要がなくなります。末端の隅々まで血流を確保するにはグローミューを再生しておけばなお結構。これで高血圧は解決ですナ。