健康情報一覧
アーカイブス・甲田光雄講演抄録 1988~1994 No82012.02.21
< これらの内容中 社会的、医学的情報などは当時のものであることをお断りしておきます >
アレルギー症の治し方 1988.8.27 大阪府和泉市コミュニティーセンター にて
三年前に東京都のある保健婦さんが保育児を対象にアレルギー症の有無を調べましたら、40%のこどもが症状の軽重含めてアレルギーだったそうです。また、他の調べでは小学生1クラス40人のうち半数の20人がアレルギー症だそうで、ある子は牛乳がダメ、別の子は卵を食べられない、こちらの子は大豆がアレルゲンなので醤油がダメ……そんな状況なので給食指導をしにくいし、給食内容が複雑でセンターでも大変なんだそうです。ここ最近の子どもにアトピーやらアレルギーが増えてきて社会問題になっています。本来アレルギーといいましたら‘体質的’な問題として固定化してあまり変化をしない特殊ケースとして考えられてきましたが、最近の急増ぶりを見ていましたら体質とはこんなにも簡単にコロコロ変わるのかと疑問に思えてきます。高度文明社会には不可避とされてきましたが、日本の現状も水・空気という環境の悪化、食生活の変貌、機密性が高い空間、昼夜区別の無い生活時間のズレ、冷暖房で寒暖の差に困らない住空間などの変遷ぶりを考えると当然なのでしょう。
さて、生理学からこの病をみてみますと、我々の身体は抗原抗体反応(アレルギー反応)
を起こして抗体を作ってこれに対抗しようとします。色んな種類の抗原ですと、IgEを初め
とする多種の抗体が出来て、抗原とドッキングして体外へ排泄しようと働きます。ちょうど喩えれば、泥棒の数が増えたら、それだけ警備員や警官を増強しなければならないといった状況ですね。ところでここで問題になるのは、抗原抗体のドッキングにより、肥満細胞が壊れて中からヒスタミンなどが飛び出してくる「脱顆粒現象」が起こることです。
この現象が皮膚で起これば、アトピー性皮膚炎、ジンマ疹が、気管支粘膜で起きれば喘息が、鼻粘膜、結膜なら各々アレルギー性鼻炎や結膜炎の症状が出てくるんです。病名は異なるが原因は共通していまして、現代医学では、何とか脱顆粒現象を発生させない(症状を出さない)ように、あの手この手と研究しています。またアレルゲンを研究して減滅作療法なども試されています。でも中々決定的治療法も現れず、副腎モルモン剤の効果にも疑問があります。むしろ色んな治療法が袋小路に入っていくような感じの昨今の状況に思えます。
皆さん、ここで考えてください。泥棒が家の中に侵入してきてから、逮捕の方法とか外へ放り出すように格闘するのも結構ですが、先ず心掛けておくべきは、泥棒が侵入できないように戸締りをキチンとしておくということじゃありませんか。そうすれば、いくら泥棒(抗原)が多くても実害は蒙らない(症状は出ない)はずです。確かに、世の中を浄化して泥棒を減らせば(食物除去法)実害(症状)も減りはしますが、泥棒を根絶やしに出来るものではありません。時が移って泥棒がまた増えてきたら、たちまち再び実害が出る訳でして、やはり戸締りをすることが第一です。つまり、卵アレルギーだといっても卵が悪いのではなく、本人の腸壁、腸壁の粘膜に傷があるから悪かったのです。視点を転換してみて下さい。こういう発想の医学・医療が現在行われていないことが重大な問題なのです。
ここで大事なことは、腸壁や胃壁に傷をつけないような食事の仕方をしないといけない。
それはといいますと〃少食〃ということになってくる訳です。考えてみて下さい。
一日に三食食べて間食をしてコーヒーやアルコールを飲んで寝る前に夜食をしておれば、腸壁に傷がつかない筈がない。胃を荒らさない訳がない。ただ、自分の胃腸の荒れを自覚していないだけなのです。ちょっと皆さんの中に足の踵の皮膚がザラザラしていて、ストッキングが引っ掛る人はおりませんか。その方は腸壁が荒れているんですヨ。それに朝食を食べずに職場に出かけてお昼頃にでもとても空腹になったという経験のある方は居ませんか。その方は腸壁が荒れているんです。こうした時に腹が減るという感覚は偽腹と呼ばれるものでして本当の健全な胃の状態ではありません。本来は空腹感など強く起こらず一食ぐらい食べなくても平気でして、二食抜けば増々快調に仕事がはかどってくるものです。
それなのに、朝ごはんを食べずに学校へ行き貧血で倒れたり体操時間にしんどくなる児童が多いということは、やはり前日の食べ過ぎで胃腸を荒らして排泄も不完全な子供が多い訳です。お母さんもよ~く考えて下さい。子供さんが学校から帰ってきて「腹減った」とねだられた時に、イソイソと台所に立っているようではダメ。「そうか腹が減っているんだったら胃が荒れているんだから晩ご飯は抜きにしなさい」これがマル。【笑い】
現代は飽食に美食で皆が内粘膜を荒らしきっています。食生活が間違っているんです。
これではアレルギー症も増えてきて当然、そのうち一億総カユイカユイ病に罹りますよ。
もっと飢えないといけない。午前中の断食をして老廃物を完全に出してから栄養物をいれるといった食べ方の問題を考え直していかなければダメなんです。結局まずもって少食を行っていかないと・・・・。
次には毎日毎日、老廃物をできるだけ出しておかなければなりません。体内の毒素を早く出し、血液の浄化を期すことが大切です。そうすれば、腸壁の荒れも小さくて済むしアレルゲンの侵入も少なく済む。アトピー症も宿便を排泄しないと根治しない。赤ちゃんの場合も出産時のカニババを完全に出し切れば問題は起こらない。そのポイントが運命の岐道となるのです。
さて、それでは具体的な治療の食事法を少し申し上げます。先ず体力のある人は断食をして下さい。長らく薬を使ってきた人は一旦薬を切って行いますと逆に症状がひどくなりますが驚かないように。そして体力のない人は午前中断食の少食を行いながら毎日1~2回の短い断食をやっていって下さい。この時の少食のみの食事とします。もし米がアレルゲン(+)であればアワやヒエでも結構。大人でしたら一日に二合、子供で一合くらいの分量とすれば良いでしょう。それで症状を少し落着かせておいて、次にアレルゲン(-)の生野菜を摩りおろして繊維を除き汁のみを30CCくらいから飲み始めます。徐々に汁の量を増量して一合くらいまでにもってゆきます。こうして玄米と生野菜のみの食事を続行してゆきますと症状も相当に軽くなってきます。こうしておいて、いよいよ生菜食が軌道に乗ればしめたものアレルギーもほぼ根治間違いなしです。もちろん他のものをツマミ食いしてはダメですよ。その時点まで折角順調に治ってきていても逆戻りになりますから
すぐにまた軌道修正をしておかないといけません。自分の悪癖を治してゆくことになりますね。
アトピーにしろ、他の難病にしろ、その人が自分の悪い癖を続けてきた結果ナンだからこれを矯正してゆかないといけない。こうした癖直しも50歳過ぎてから始めるのは中々一筋縄ではゆきませんので、できれば子供のうちから始めるのが懸念ですネ。さてそれではとなりますと世に健康法と自称するものは沢山ある訳ですが、私の思いますのにどの健康法をするにせよ基本に「少食」を据えなければどれも失敗に終わるだろうと。スポーツでも技術でもおおよそ先ず基本を習得しないと先へと進めはしない。それと同じで健康への道も先ず基本としての少食を身につけないといけないのです。
そして健康法とは結局何かと申しますと「生命を大事にする」ことなのです。
その生命とは1.自分の生命2.他人の生命3.動植物の生命4.微生物・細菌の生命の4つの生命です。1については誰でも畜生でも心得ております。2を無視するところに公害問題を始めとして、色んな混乱が生じてきます。現在、公害問題は根が深くスケールが大きくなってきているように思います。空気も水も光も汚れてきて清浄な環境の下でアトピーや喘息その他の病気治療がやりにくくなってきました。たとえば雨も近頃は酸性雨が降り、森林が地球的規模でダメージを受けているようですが、もう20年もしてお隣の中国の民がマイカーに乗るようになると、日本で1日半後に高濃度の酸性雨が降るようです。
また雨中のアルミニウムが地中に浸透し自然農法なんてことも次第に不可能になってきたり、そのアルミニウムの人体集積がアルツハイマー型老人性痴呆の一因であると発表されたり、母乳にもPCBが検出されたり全く混乱が広がってきています。一方、コンピュター洗浄剤や冷蔵庫やエアコンの冷媒としてしようされるフロンガスが大気層のオゾン層を破壊して紫外線量が増え皮膚ガンの増加が心配されています。それなら現代文明の進行を止められるのか。もう抜差らないところへ来ている、これが人類の深い業(ごう)ナンですねエ。
人間とは目先のことだけを考えるものです。アトピー湿疹だといっては一時抑え薬、副腎皮質ホルモン剤を塗っている。あれは免疫抑制剤でして自ら免疫力を落としてしまって平気でいる。免疫力が昻まってこそ、ガンや色んな病気を押込んでゆけるというのに。
また人間というのは傲慢でして同じ地球に生を受けた動植物を値踏みしている。この卵が安かった、近頃大根が一本100円もするetc。我々の生命を長らえるために犠牲となった動植物をモノとして計っているんですね。それにまた、抗生物質や農薬などで細菌を抹殺するなどの差別思想も捨てようとはしない。断食すると、人間の腸内細菌数をも健全に出来まして、これは細菌への愛の行為といえるのです。結局少食は3.4.を大切にする愛と慈悲を具体化する行為といえるのです。ここに少食健康法の基盤があるのです。ですから皆さん美味しいものを沢山食べた上でアトピーや喘息を治す方法はないかなどと目先のことを考えず王道は無いと早く悟って下さい。
般若心経の中に「一切の?倒夢想を遠離して涅槃を究境する」と説かれています。
これは「こういうふうな方向で進めば幸せになるだろうと努力してきたけれど、よくよく考え反省してみれば全く逆だった。発想を転換してみて般若の知恵に基づいた生き方をすればそれが真の安らぎにつながる道となるであろう」という教えです。現代の医学の最先端では色んな治療の研究法が研究されてはいますが、相当な労力と費用を消費する割合に患者さん真の救いとなっていないように思います。木を見て森を観ていないんですねえ。
患者さんも一時逃れの方法に安易に飛びつくのではなく、近視眼的思考から般若の知恵を働かせてゆかなければなりません。